【押井守監督】イノセンス考察&引用&単語解説

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元ダメリーマンそらすけ

30代でのセミリタイアを目標に頑張る30代(就職氷河期末期の世代)。 派遣社員から転職を5回して、年収1000万円を超えた(副業含め)のちに起業。 バカを行動力で補うタイプ。 最近は投資をようやく覚えて、そっちにハマりぎみ。 お金に悩まない生活を目指して勉強してます! 運用実績はこちらで公表しています。【累計利益1,367,444円】 追記:この前、週間SPA!に投資家として取材されました~!



バトーは、生きた人形(サイボーグ)である。

腕も脚も、その体のすべてが造り物。残されているのはわずかな脳と、一人の女性、”素子”(もとこ)の記憶だけ。

というキャッチコピーのイノセンス。

いやーぼくは2004年に公開されたこの映画にどっぷりハマり、ブルーレイを買って数十回は観てしまいました。

しかも最近はネットフリックスでも配信してるので、ついついまた観ちゃってるくらい好きな映画なんですよね。

イノセンスは、監督が押井守氏なだけに非常に難解なセリフ回しが随所にあります。

ストーリー自体も難しく、一回観ただけでは「???」と疑問に感じる部分もあるはず。

正直、もっと簡単にストーリーをわかりやすくして大衆受けするようにもできたと思うんですが、それをしなかったからこそこの魅力を生み出してるんだと思います。

ぼくが好きだったイノセンスの考察サイトがなくなってしまっていたのでそれを参考にしつつ、ぼく自身の考察を交えてあらためてまとめようとこの記事を書きました。

ではイノセンスの濃厚な世界の鱗片へ、レッツゴー!

※考察なのでネタバレしています。

簡単な目次

【押井守監督】イノセンスのストーリー&考察&用語解説

イノセンスのざっくりストーリー

wikiにわかりやすく書いてたのでそのまま引用します。

少佐こと草薙素子が失踪(前作『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のラスト)してから3年後の西暦2032年。

ロクス・ソルス社が販売する少女型の愛玩用ガイノイド「ロクス・ソルス社製 Type2052 “ハダリ(HADALY)”」[注 2]が原因不明の暴走を起こし、所有者を惨殺するという事件が相次いで発生した。被害者の遺族とメーカーの間で示談が不審なほど速やかに成立し、また被害者の中に政治家や元公安関係者がいたことから、公安9課で捜査を担当することになり、公安9課のバトーは、相棒のトグサとともに捜査に向かう。

その最中、ロクス・ソルス社の出荷検査部長が惨殺される事件が起きる。暴走したハダリに組長を殺された指定暴力団「紅塵会」の犯行であると踏んだ公安9課は、紅塵会の事務所を襲撃する。検査部長はロクス・ソルス社から「落とし前」として紅塵会に売られたのだった。その帰宅途中、バトーはいつものように立ち寄った食料品店でゴーストハックされ乱射事件を起こしてしまう。

事件の核心へと迫るべく、バトーとトグサはロクス・ソルス本社がある択捉経済特区へ向かう。手始めに二人は、バトーへのゴーストハックの容疑でハッカーのキムの屋敷を訪れる。2人は電脳の疑似現実のループに誘い込まれてしまうが、何者かからのヒントで脱出に成功。ロクス・ソルス社がキムを雇い、捜査を妨害を試みたと確信した2人はキムを確保し、バトーはガイノイド製造プラント船へ乗り込む。

トグサはキムの脳殻を用いてバトーをバックアップするが、プラント船の警備システムが作動し、電脳戦の末にキムは死亡してしまう。だが、キムは自らの死に連動したウイルスを製造プラント船内に仕込んでおり、それによって待機中のハダリが暴走し、船内のロクス・ ソルス社の警備兵たちを惨殺しはじめる。プラント船中枢を目指すバトーがそれらに応戦している最中、1体のハダリが現れ、バトーを援護する。そのハダリは素子が自身の一部をダウンロードさせたものだった。食料品店でバトーに警告を発したのも、キムのループを解くヒントを与えたのも素子だった。

素子のハッキングによってプラント船内は鎮圧され、バトーは捜査を再開する。プラント船の中枢部にはゴーストをガイノイドに複製する「ゴーストダビング装置」が並んでいた。ハダリの正体は、紅塵会が密輸入した少女たちのゴーストを犠牲にして作り出した「生きた人形」であった。素子は脱出するバトーに「あなたがネットにアクセスするとき、私は必ずあなたのそばにいる」と言い残し、ハダリのデータを消去した。

事件解決後、バトーはトグサの家に預けていた犬のガブリエルを迎えに行き、その際トグサに抱かれた娘とその腕に抱かれた娘へのプレゼントの人形、バトーに抱かれたガブリエルはお互いを見つめ合ったのだった。

イノセンス、攻殻機動隊の基本用語

AI・・・人工知能。ゴースト(魂)を持たない存在。

アンドロイド・・・AIによって動く人間型ロボット。

イノセンス・・・innocenceは「無実、無罪、天真爛漫、無邪気」という意味。

択捉(えとろふ)経済特区・・・北海道の東部沖の択捉島にある情報集約型経済特区。どの国の法律も及ばないため、犯罪組織が多く潜んでいる。昔の九龍城を半端なくデカくしたような都市。文化的には中国の影響が色濃い。

ガイノイド・・・人間の女性に似せて作られたロボット。

義体・・・サイボーグの体。義手や義足、内蔵、眼球など一部だけ義体化してる人が多い。脳以外をすべて義体化したサイボーグは完全義体と言われる。(バトーもその一人)

公安9課・・・バトーやトグサ、イシカワなど個性的で有能な人たちが所属する、首相直属の内務省特殊実行部隊。いつも実力行使。

攻殻機動隊・・・公安9課の通称。

紅塵会・・・日系暴力団。

ゴースト・・・人間に特有の自我のこと。魂、意識、人格。どれだけ凄れたAIにもなく、人間の脳にだけ存在すると思われている。

ゴーストハック・・・ゴースト(自我、意識)を乗っ取ること。意識をハッキングされると、ハッカーが作り出した情報を知らないうちに刷り込まれたり、仮想現実を現実と思い込まされるようになる。怖い。

ゴーストダビング・・・ゴーストは基本的にそれぞれ個人が持つオリジナルが1つしかない。しかし、ゴーストをダビング(コピー)してロボットに大量複写する技術がゴーストダビングと言われる。ゴーストダビングは情報が劣化し、ダビングされたオリジナル(人間)の精神にも負荷がかかり死に至らしめる。禁忌とされている技術。

攻性防壁・・・ハッキングしてきた相手の脳を焼き切る反撃システム。

電脳・・・コンピューターと直接アクセスできるようにした脳のこと。脳にナノマシンを注入し、神経細胞とナノマシンを結合させて電気信号をやりとりすることで、脳とインターネットを直接接続する技術。ほとんどの人が電脳化をしている。

ハダリ・・・ロクス・ソルス社製 Type2052 “ハダリ(HADALY)”というガイノイド。出荷時は人工皮膚で覆われており普通の人間と区別が付きづらい。人工皮膚の下は球体関節になっている。ほかのガイノイドと比べて非常に人間味のある挙動を取ると評判。元ネタはSF小説の「未来のイヴ」にでてくる「ハダリー」。

マテバ・・・トグサが刑事時代から愛用しているリボルバータイプのハンドガン。公安9課メンバーからはよくバカにされる。

ロクス・ソルス・・・日本の北部、択捉(えとろふ)経済特区にある中華系ロボットメーカー。高級ガイノイドを生産している。金儲けのためならかなりヤバいことも平気でやる会社。元ネタはレーモン・ルーセルが書いた「ロクス・ソルス」という小説。ロクス・ソルスの意味は、「人里離れた場所」という意味のラテン語。

イノセンスの主な登場人物

バトー(声:大塚明夫)・・・ほぼ全身を義体化したサイボーグ。内務省公安九課に所属する刑事。ロクス・ソルス社製アンドロイドを巡る謎の連続自壊/殺人事件の捜査を担当することになる。

草薙素子(声:田中敦子)・・・かつて公安九課に所属していた女性で、課内の人間には“少佐”と呼ばれている。4年前、人形遣いと称されるプログラムと融合し、ネットワークの海へ姿を消してしまった。

トグサ(声:山寺宏一)・・・公安九課の隊員。課内唯一の所帯持ちにして、全身ほぼ生身という九課の中では異色の存在。草薙のいなくなった九課において、バトーとコンビを組むことになる。苦労人。

荒巻大輔(声:大木民夫)・・・公安九課を率いる司令塔。部下の信頼は厚い。ロクス・ソルス社の連続アンドロイド暴走事件について、バトーとトグサに捜査を命じる。

イシカワ(声:仲野裕)・・・公安九課の隊員。バトーとは古くからの知り合いであるため、目付け役などの役回りを演じることもある。気配りも細やかなベテラン。

キム(声:竹中直人)・・・凄腕のハッカー。全身を義体化し、豪邸に住んでいる。ロクス・ソルス社と関連がありそうだが、誰も信用してなさそうなタイプ。

ハラウェイ(声:榊原良子)・・・バトーとトグサが捜査の途中で遭遇する検死官。自壊したアンドロイドの暴走理由、人形と人間の関係について独自の解釈を披露する。モデルはダナ・ハラウェイ(カリフォルニア大学サンタクルーズ校名誉教授で著書にサイボーグ・フェミニズム、霊長類の見方などがある)。

少女(声:武藤寿美)・・・ハダリ出荷検査官のボートハウスの本棚の1冊の本に挟まっていた、立体写真に写っていた少女。今回の事件のカギをにぎっているようだ。

イノセンスの疑問その1:ハラウェイ「なんど来てもムダよ。共同検査はしないといったでしょ」ってどんな意味?

検視官が最初に言うセリフ「なんど来てもムダよ。共同検査はしないといったでしょ」とは誰と勘違いしていたのか。

おそらくロクス・ソルス社の人間と勘違いしてたと思われる。

ハラウェイが使用してる机の上に置いてあるライターは、ロクス・ソルス社のロゴ入り。(LとSなのでおそらくそう)

バトーとトグサが来る前に、ロクス・ソルス社の人間が共同検査を持ちかけ、その際にライターを手土産として持ってきた。

イノセンスの疑問その2:「夕食のツナサンドと再会したあと、オロクと一緒に戻った」ってどんな意味?

夕食に食べたツナサンドと再会とはつまり、遺体を見て気持ち悪くなって吐いたということ。

オロクとは死体を指す登山用語。南無阿弥陀仏の6字でホトケを指す「おろくじ」から来ているとされる。

もしくは、死んだら楽になるから「お楽」から来てるという説もある。

ちなみに水死体は土左衛門。

イノセンスの疑問その3:セクサロイドとは?

誰もがなんとなくイメージがついている通り、セックスできる機能がついたアンドロイドのこと。

イノセンスの疑問その4:ロクス・ソルス社の出荷検査部長が殺された理由は?

人間味があると好評なハダリ(ガイノイド)の秘密は、「生きた少女のゴーストダビングをしてたから」という理由だった。

出荷検査部長はおそらく良心の呵責に耐えかね、ハダリにバグを仕込んで今回の事件を起こしたと思われる。(事件になれば、警察が乗り出してロクス・ソルス社の悪行が暴かれると想定していた)

それがロクス・ソルス社にバレて、ロクス・ソルス社は紅塵会(組長がハダリに殺された)に情報を流し、報復として出荷検査部長を殺させたという流れ。

イノセンスの疑問その5:セーフハウスに戻ったバトーはなにを洗ってた?

セーフハウスに入ったときに微妙な間があったのは、飼い犬(バセットハウンド)のフンを踏んでしまったため。

バトーはフンがついた靴を洗っていた。

イノセンスの疑問その6:コンビニに入ったバトーがいきなり暴れたのはなぜ?

バトーはゴーストハックをされていたので、自分が誰かに狙われていると思い込まされた。

バトーが敵だと思って撃った相手は、実は自分の腕だった。

ゴーストハックをした犯人はこの後にでてくるハッカーのキム。

ゴーストハックの目的は誰かを殺そうとしたのではなく、コンビニで大暴れしたバトーのスキャンダル。

ゴーストハックは、こっそり後をつけてたイシカワがリセットしてくれた。

イノセンスの疑問その7:「キルゾーンに入ったわよ」というのはなに?

バトーがコンビニに入るときに聞いた「キルゾーン」というのは、殺傷有効範囲のこと。

つまり「ゴーストハックされてるからいつでも殺される危険性があるよ」と教えてくれている。

教えたのは、ウィザード級ハッカー(ものすごいハッカー)の草薙素子。

草薙素子は前作のGHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊のラストにて、肉体を捨てて記憶とゴーストをネットにアップロードしている。

イノセンスの疑問その8:トグサ「おれをスクリーンにしやがって」とは?

どうも最近調子がイマイチなバトーを心配した荒牧部長が、イシカワを使って監視していた。

トグサはバトーにいつもどおり接触することで、バトーは「自分が監視されている」ということに気づかせなかった。

トグサ自身もイシカワがバトーを監視していることを知らなかったのでご機嫌ななめになる。

さらにトグサの視界もイシカワがハッキングして監視していた可能性も考えて、余計にご機嫌ななめになってる可能性もある。

イノセンスの疑問その9:キムの屋敷に置いてあった少女の義体はなに?

前作で草薙素子がたまに使ってた少女の義体。

キムの屋敷に入った時点(もしくはリンと出会って追い詰めた時点)でバトーもトグサもゴーストハックされていたので、あの時点ですでに仮想現実の中に踏み込んでいた。

キムが作り上げた仮想現実の屋敷の中に草薙素子がハッキングして義体を置いたことで、バトーは「これは仮想現実である」と気づくきっかけになった。

イノセンスの疑問その10:2501ってなに?

2501は、草薙素子とバトーだけに通じる暗号。

前作で「人形使い」というAIを作った計画が「プロジェクト2501」。

草薙素子は前作のラストで「2501、それをいつか再会するときの合言葉にしましょう」と言っている。

日本の株式で2501はサッポロホールディングスだがまったく関係ない。

イノセンスの疑問その10:バトーの顔がぱかーってなったり、キムの屋敷が砲撃されたのはなぜ?

キムがロクス・ソルス社の捜査を妨害するために、バトーとトグサをゴーストハックして嫌がらせをしたため。

キムの屋敷に入ってから、バトーが気づくまではすべてキムが作り上げた疑似記憶。

イノセンスの疑問その11:キムが死んだのはなんで?

キムはロクス・ソルス社から委託を受けてさまざまな汚れ仕事をしていた。

しかしキムはロクス・ソルス社も信用しておらず、警備主任をハックして意のままに操れるようにしてもいた。

トグサはそれを利用して、ロクス・ソルス社のプラント船のセキュリティを解除してバトーを潜り込ませる。

プラント船の警備は非常に硬く、すぐにトグサのハッキングに気がついて対応を始める。

攻性防壁というハッキングしてきたものに攻撃を加えるウイルスを送り込みはじめ、それがキムの脳を焼き切ってしまった。

攻性防壁に対する防御手段は「身代わり防壁」というものがあり、今回のハッキングでも使用されていた。

キムの脳が焼かれる前に黒い箱が爆発していたので、おそらくあれが本来の身代わり防壁だったはず。

しかしロクス・ソルスの攻性防壁があまりにも強く、身代わり防壁だけではなくキムの脳も焼かれてしまった。

イノセンスの疑問その12:ハダリが暴走したのはなんで?

キムはロクス・ソルス社が裏切ったときに備えて、予めプラント船にウイルスを仕込んでいた。

そのウイルスはキムが死んだことを検知すると、ハダリに戦闘用プログラムを組み込み、船内の人員を皆殺しにするように設定されていた。

船内の人間全員が対象となるため、バトーにもロクス・ソルス社社員にも襲いかかった。

イノセンスの疑問その13:バトーが草薙素子の一部が入ったハダリにジャケットを掛けたのはなぜ?

バトーは自身が全身義体のため、人間よりも人間らしさを意識している。

ハダリにしても、たとえ草薙素子の一部がダウンロードされたただのロボットだとしても人間としての気遣いを見せた。

バトーは紳士。

デジタルな世界の住人となった草薙素子に対して「お前は人間なんだ」と表現してるようにも思える。

イノセンスの疑問その14:バトー「人形たちのことは考えなかったのか!」というのはどういう意味?

ハダリの暴走事故を起こして警察がロクス・ソルス社の悪行に気づくようにしたのは、出荷検査部長と一人の女の子だった。

バトーはその女の子に対して「人形たち(ハダリ)のことは考えなかったのか」と厳しく問い詰める。

ハダリは人間のゴーストをダビングしているため、純粋なロボットではない。

バトーも脳以外は義体化しているため、ロボットではない。

バトーはおそらくハダリに自分自身も重ね合わせて、「魂のある人形(義体)のことは考えなかったのか!」と言ってしまった…と考察できる。

どのみち、ゴーストダビングされて殺されちゃうのを阻止したかった女の子に言うにはちょっと厳しい。

その他、イノセンスの考察まとめ

冒頭にでてくるヘリの頭にある「觀」の意味は、みる。見渡す。よく見る。見物する。

車のバックミラーにぶら下がってる人形はトグサの娘が作ったマスコット。

ハッキングを受けている時は画面が青系になる。物理現実は琥珀色。

キムの屋敷で天井からぶら下がってるものが入るたびに変わる。計三つ。

日本神話に準えると合致するらしい。

日本神話との対比
劇中要素 日本神話要素
択捉経済特区(バトー曰「卒塔婆の群れ」) 黄泉の国(よみのくに)
到着して下った階段(トグサが振り返る) 黄泉平坂(よもつひらさか)
トグサの食べない肉まんと飲まない紅茶 黄泉戸喫(よもつへぐい)
バトー イザナギ(伊弉諾尊)
人形遣いと融合した草薙素子少佐 イザナミ (伊弉冉尊)

「黄泉の国」で、イザナギがその亡くした妻・イザナミを連れ戻そうと冥界に下るが、互いについにまみえても、 死者は連れ戻せないという 悲恋のストーリー。
黄泉の国の食事を摂ったものは、「穢れ」て現世には戻れない。ゆえにトグサは、リン尋問時に饅頭を食うのを止め、 キムの館では紅茶を口にしなかった。

イノセンスで使われた引用について

イノセンスではいろんな本や映画からの引用があります。

その中で代表的なのはこちら。

もちろん僕は買って読みました。

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斎藤緑雨・・・明治時代の小説家、評論家。本名は賢(まさる)。皮肉屋で毒舌家。風刺が好き。

フランソワ・ド・ラ・ロシュフコー・・・1613年から1680年に生きたフランスの貴族。モラリスト文学者。アフォリズム(警句。箴言しんげん)で有名。

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パリ郊外に住む科学者マルシャル・カントレルが彼の広大な邸宅に設置した奇怪な発明品の数々を客たちが数時間にわたって見て回るという小説…だけど非常に難解。

小説は結構読むほうだけど、途中で挫折した。

 

セリフの引用については、ネットで見つけた解説を引用しつつ独自の修正を入れています。

引用その1:柿も青いうちは鴉も突つき申さず候

【読み】かきもあおいうちはからすもつつきもうさずそうろう

【出典】尾崎紅葉に徳田秋声が送った原稿についての添え書き

【発言者】暴走したハダリ担当のベテラン刑事

【意味】柿がなっていても熟れない内はカラスでさえ手を出したりしない。利益が見込めない内は見向きもされない。

【備考】仕事を横取りに来た公安九課のトグサとバトーに皮肉って言った言葉。この言葉に続いて、「美味しくなると寄ってきやがる」と言う。

引用その2:自分の面が曲がっているのに、鏡を責めてなんになる

【読み】じぶんの面(つら)が曲がっているのに、鏡を責めてなんになる

【出典】ニコライ・ゴーゴリ(Nikolai Vasilevich Gogol)「検察官」(Ревизор)

【発言者】バトー

【意味】自分の悪い面が鏡に写ってるだけなのに、鏡を責めても意味がない。

【備考】美味しい仕事を上に取られ皮肉を言った刑事に対し「昔の自分を見ているようで」と不満を示すトグサに対して言った言葉。トグサは昔の自分を思い出して自分自身に怒っている。

引用その3:鏡は悟りの具ならず、迷いの具なり

【読み】かがみはさとりのぐならず、まよいのぐなり

【出典】斎藤緑雨 日刊新聞「讀賣新聞」明治32年8月9日「霏々刺々」

【前後】鏡を看よといふは、反省を促すの語也。されどまことに反省し得るもの、幾人ぞ。人は鏡の前に、自ら恃み、自ら負ふことありとも、遂に反省することなかるべし。 - 一たび見て悟らんも、二たび見、三たび見る

に及びて、少しづヽ、少しづヽ、迷はされ行くなり。

【発言者】トグサ

【意味】人は鏡を前に、自らの姿に頼もしさや、劣等感を感じることはあっても、結局反省することはない。

【備考】一度、鏡を見て悟ったつもりになっても、二度三度と繰り返し見るたびに、ますます迷わされていく。

引用その4:春の日やあの世この世と馬車を駆り

【読み】はるのひやあのよこのよとばしゃをかり

【続き】凧(なぎ)なにもて死なむあがるべし 麗(うらら)かや野に死に真似の遊びして

【出典】中村苑子

【発言者】バトー

【意味】あの世とこの世を行ったり来たりする様。

【備考】あー忙しい忙しい。

引用その5:理解なんてものは概ね願望に基づくものだ

【出典】不明

【発言者】荒巻大輔

【備考】トグサのバトーの任務に対する見解を聞いての発言。日常会話で使えるちょっと頭が良さそうに見えるセリフ。

引用その6:シーザーを理解するためにシーザーである必要はない

【出典】マックス・ウェーバー「理解社会学のカテゴリー」解釈学

【発言者】荒巻大輔

【意味】ゲイの気持ちを理解しようとするときも、自分がゲイになる必要はない

【備考】ウェーバーは「直接的理解」を「説明的理解」と切り離して考察しようとした

引用その7:人はおおむね自分で思うほどには幸福でも不幸でもない。肝心なのは望んだり生きたりすることに飽きないことだ

【全文】人は望む通りのことが出来るものではない。望む、生きる、それは別々だ。くよくよするもんじゃない。肝心な事は、望んだり生きたりすることに飽きない事だ。

【出典】ロマン・ロラン(仏, Romain Rolland)「ジャン・クリストフ」

【発言者】荒巻大輔

【備考】なかなか含みのあるお言葉。

引用その8:孤独に歩め…悪をなさず 求めるところは少なく林の中の象のように

【読み】こどくにあゆめ あくをなさず もとめるところはすくなく はやしのなかのぞうのように

【出典】仏陀『ブッダのことば』

【発言者】バトー

【意味】肩がしっかりと発育し蓮華のようにみごとな巨大な象はその群れを離れて、欲するがままに森の中を遊歩する。犀の角のようにただ独り歩め。(犀の角とは、稀有にして高価という意味もある)

【備考】実は本来は、「林の中の象のように」ではなく、「犀の角のように」が正しい模様。岩波文庫の世界名言集には「林の中の象のように」となっているので、そっちを使ってしまったよう。

引用その9:個体が作り上げたものもまた、その個体同様に遺伝子の表現型だって言葉を思い出すな

【出典】リチャード・ドーキンス(英, Dawkins, Richard)「延長された表現型―自然淘汰の単位としての遺伝子」

【原題】THE EXTENDED PHENOTYPE : The Gene as the Unit of Selection

【発言者】バトー

【備考】「それってビーバーのダムや蜘蛛の巣の話だろ」「サンゴ虫の作り出す珊瑚礁と言ってほしいな」

引用その10:その思念の数はいかに多きかな。我これを数えんとすれどもその数は沙よりも多し

【読み】そのしねんのかずはいかにおおきかな。われこれをかぞえんとすれどもそのかずはすなよりもおおし

【出典】旧約聖書『詩編』139節

【発言者】トグサ

【意味】無量大数。

【備考】択捉経済特区に住む人達のことを指してる

引用その11:彼ら秋の葉のごとく群がり落ち、狂乱した混沌は吼えたけり

【読み】かれらあきのはのごとくむらがりおち、きょうらんしたこんとんはほえたけり

【出典】ミルトン(英, John Milton)『失楽園』

【内容】反逆の咎ゆえに麾下の堕天使の群と共に暗黒の淵に落とされたサタンは、自分たちの代わりに作られた、楽園に住むアダムとイブを「罪」へと誘惑する。

【発言者】トグサ

【備考】あまりうまい言い回しじゃない気がするけど、トグサもカッコつけたいときはある。

引用その12:忘れねばこそ思い出さず候

【読み】わすれねばこそおもいださずそうろう

【前後】「ゆうべは浪の上のお帰らせいかが候、館の御首尾は恙無くおわしまし候や、御見のまも忘れねばこそ、思い出さず候。かしこ」

【出典】三浦屋の高尾太夫が愛顧を受けた仙台伊達綱宗公に宛てた件の文

【発言者】バトー

【意味】「忘れることはありませんから、思い出すことなんかありません」片時も忘れた事はないという意味。

引用その13:信義に二種あり。秘密を守ると正直を守るとなり。両立すべきことにあらず。

【読み】しんぎににしゅあり。ひみつをまもるとしょうじきをまもるとなり。りょうりつすべきことにあらず

【出典】斎藤緑雨「緑雨敬語」

【発言者】バトー

【備考】誰かになにか秘密を聞き出したいときに使えるセリフ。

引用その14:秘密なきは誠なし

【読み】ひみつなきはまことなし

【出典】斎藤緑雨「緑雨敬語」

【発言者】リン

【備考】言い訳っぽい。

引用その15:生死去来/棚頭傀儡/一線断時/落落磊磊

【読み】せいしのきょらいするは ほうとうのかいらいたり いっせんたゆるとき らくらくらいらい

【続き】是は、生死に輪廻する人間の有様をたとへ也

【出典】世阿弥の能楽書「花鏡」

【発言者】キム

【意味】一旦死が訪れると、あたかも棚車の上のあやつり人形が、 糸が切れればがらりと崩れ落ちるように、一切が無に帰してしまう。

【備考】キムが関わっているサインフレーズ。キムの書斎では「落落」を「樂樂」と表記されている。またロクス・ソロスの隠れ社訓か択捉祭りの標語かとの意見も。緊急閉鎖した隔壁にも書かれている。

引用その16:人の上に立つを得ず、人の下につくを得ず、路辺に倒るるに適す

【読み】ひとのうえにたつをえず、ひとのしたにつくをえず、ろへんにたおるるにてきす

【出典】斎藤緑雨「緑雨敬語」

【発言者】バトー

【意味】リーダーにもならない、誰かの下につくのもできない、そんな人は道端で死んでしまうのみ、という斎藤緑雨の自虐。

【備考】今はリーダーにも誰かの下にもつかない働き方がでてきて、時代の進化という感じがする。

引用その17:ロバが旅にでたところで馬になって帰ってくるわけじゃねえ

【出典】西洋の諺

【発言者】バトー

【意味】本質はそう簡単に変わるものではない。

【備考】キムはもともとの性格が悪かったからこそ、ロクス・ソルス社にもウイルスを仕掛けていた。

引用その18:寝ぬるに尸せず。居るに容づくらず。

【読み】いぬるにしせず。いるにかたちづくらず

【出典】孔子『論語』

【発言者】バトー

【意味】一人で就寝する時には、死体のように無様な寝姿になることはなく、普段みんなと居るときには容儀(かたち)を作らず、自然体でおられた。普段、他人に対する態度はあくまでも自然体で、形にこだわらず、誰も見ていない場所でこそ正しい姿であるべきである、という意味。

【備考】バトー「死んだように寝ちゃならねぇと孔子様もおっしゃってるだろうが」

引用その19:未だ生を知らず。焉んぞ死を知らんや

【読み】いまだせいをしらず、いずくんぞしをしらんや

【出典】孔子『論語』

【発言者】キム

【意味】生の意味も知らないのに、まして死の意味など知ることができようか。孔子が死の問題に関わらぬよう弟子に論した言葉。

【備考】生にも死にも意味はない。生きて居ることに意味があるとすれば、死んでは居ないと云ふだけのことだろう。

引用その20多くは覚悟でなく愚鈍と慣れでこれに耐える

【読み】おおくはかくごでなくぐどんとなれでこれにたえる

【出典】ラ・ロシュフコー「箴言集」

【前後】死を理解するものは稀だ。 – 人は死なざるを得ないから死ぬわけだ。

【発言者】キム

【備考】悪政や不条理に対して、一般大衆は常にこれで耐える。

引用その21:本月本日を以て目出度死去仕候間此段広告仕候也

【読み】ほんげつほんじつをもって めでたくしきょつかまつりそうろうあいだ このだんこうこくつかまつりそうろうなり

【出典】雨斎藤賢 明治37年4月13日の新聞広告

【前後】僕本月本日を以て目出度死去仕候間この段広告仕候也

【発信者】キム

【意味】死亡広告

【備考】トグサの死に目に会えなくて残念。嫌がらせ。

引用その22:人体は自らゼンマイを巻く機械であり、永久運動の生きた見本である

【出典】フランスの医学者ド・ラ・メトリ『人間機械論』

【同出典】人間は極めて複雑な機械である。… - 全世界には種々雑多な様相化の与えられたただ一つの物質が存在するのみである。

【発言者】バトーに言わせたキム

【意味】通常は外部から得るしか増やす方法の無い運動エネルギーを、自分の中で生成することで動き続けることができる。

【備考】テクノロジーが進化すると機械と人間の境目がなくなり、人間も機械なのではと思わせる。

引用その23:神は永遠に幾何学する

【読み】かみはえいえんにきかがくする

【出典】プラトン

【発言者】バトーに言わせたキム

【備考】幾何学が普遍的なるものをその本質とするなら、それは永遠であることを必須条件とする美に直結するものであり、球体関節は人の形を幾何学と繋ぐ魔法の自在繋ぎ手なのかもしれません。

引用その24:幸運が三度姿を現すように、不運もまた三度兆候を示す

【出典】不明

【発言者】バトー

【続き】見たくないから見ない、気がついても言わない、言ってもきかない。そして破局を迎える。

引用その25:思い出をその記憶と分かつものは何もない。 そしてそれがどちらであれ、それが理解されるのは常に後になってからのことでしかない。

【出典】不明

【発言者】バトー

【意味】思い出と記憶の差はない。その区別は後になってから付くものだ。

引用その26:理非無きときは鼓を鳴らし攻めて可なり

【読み】りひなきときは こをならし せめてかなり

【出典】孔子

【発言者】バトー

【意味】納得いかないことは、ちゃんと抗議の声をあげよう

【備考】バトーは抗議の弾丸を打ち込みまくった。

引用その27:鳥は高く天上に蔵れ、魚は深く水中に潜む

【読み】とりはたかくてんじょうにかくれ、さかなはふかくすいちゅうにひそむ

【続き】鳥の声聴くべく、魚の肉啖ふべし。これを取除けたるは人の依怙也。

【出典】斎藤緑雨 日刊新聞「讀賣新聞」明治32年6月26日「霏々刺々」

【発言者】バトー

【意味】鳥は空高く飛び、魚は水中深く泳ぎ、どちらも隠れるように生きている。それなのに鳥は鳴き声を聴くために生かされるが、魚は肉を食べるために殺される。その扱いの違い(不平等)は人間の都合によって決められるのだ。

【備考】声あるものは幸いなり。

引用その28:何人か鏡を把りて、魔ならざる者ある。魔を照すにあらず、造る也。即ち鏡は、瞥見す可きものなり、熟視す可きものにあらず

【読み】なんびとかかがみをとりて まならざるものある。 まをてらすにあらず、つくるなり。すなわちかがみは べっしすべきものなり。じゅくしすべきものにあらず。

【出典】斎藤緑雨 日刊新聞「讀賣新聞」明治32年8月9日「霏々刺々」

【発言者】草薙素子

【意味】「どんな人でも、鏡を手にすれば「魔」にならない人はいない。(鏡は)「魔」を照らす(見つける・明らかにする)のではなく、「魔」を作るのである。だから、鏡はちょっとだけ見るものであって、じっくりと見るものではない。」

【備考】ハダリ2052にロードされた草薙素子が、同型の暴走したハダリを見て感慨にふけった言葉。

引用その29:鳥の血に悲しめど、魚の血に悲しまず。声あるものは幸いなり

【読み】とりのちにかなしめど、うおのちにかなしまず。こえあるものはさいわいなり

【出典】斎藤緑雨

【全部】刀を鳥に加えて、鳥の血に悲しめども、魚に加えて魚の血に悲しまず、声あるものは幸福也

【発言者】草薙素子

【意味】声のあるものは気にかけてもらえるが、無ければ同情は薄い。

【備考】人間と人形。少佐のバトーへの救いの言葉。人形になりたくないと叫ぶ子供と職業柄(?)人形にならざるを得なかったバトー。

引用その30:そろそろ仕事の話、しないか?

【出典】パトレイバーThe Movie2

【発言者】トグサ

【備考】パトレイバーThe Movie2で特車二課第二小隊長 後藤喜一が陸幕調査部別室所属 荒川茂樹に対して車中言った言葉。(相手の声優はどちらも竹中直人)

まとめ:イノセンスは何度も観れる稀有な映画

いろんな考察ができる珍しい映画、イノセンス。

ほかにも中国っぽいお祭りで、みんなが仮面をつけて人形を燃やしている中、チベットの僧侶っぽい人がなんとも言えない表情で一人佇んでいるのもなかなか意味深です。

択捉は白い鳥がやたらと飛んでたり、プラント船の形やトグサがハッキングに使ってた船が白い白鳥っぽい形だったりと意味深なシーンはいたるところにあります。

ほかにも検死室はやたらと寒くて、トグサが襟を立てるシーンがあります。

トグサは白い息を吐き、バトーはその描写がありません。ハラウェイ検視官はタバコの煙でどちらかわからない表現がされています。

ここでは、トグサ(人間)とバトー(完全義体の人間)、人間かサイボーグかわからないハラウェイという構図が面白く描かれているんですよね。

ハラウェイはたばこをガンガン吸ってるので妙に人間っぽいと思いきや、顔の一部が外れて義体化しまくってる人だとわかります。

ひょっとすると、ハラウェイは人間ではなくアンドロイドの可能性も…。

自己紹介で「ミスもミセスも不要」と言ってたのはそういう意味にもとれます。

検死室のシーンだけで「人間とロボットの境界とは?」というテーマを盛り込んでるわけです。

ネタバレしてても見応えのある映画ってスゴいですよね…。

まだ一度もイノセンスを観たことがない方は、ぜひ観てください!

ハマる方はハマりますよ!