短期間でみる投資(2.3年くらい)よりも長期間(10年以上)でみる投資のほうがより低リスクかつ複利効果でバンバン資産が増えていく可能性が高いのは皆さんご存知の通りです。
では、長期投資は一体なにに投資をしたらいいのか…誰もが思いつくのがETFです。
※ETFってなんぞや…?という方は40秒でわかるETFをご覧ください。
そしてETFの中でも、長期的にみて安全な確率が高そうなのが、「全世界を対象としたETF」です。
「お、それならいろんな国の企業が入ってるトータルワールドストックETF【VT】でええやんけ!」となるかも知れませんが、実際は違います。
結論は、全世界株式市場を対象としたものではなく、多国籍企業メインのETFがリスクの低さ、リターンの高さともに最強だと思っています。
ようするに、S&P500ETF【VOO】ってやっぱりいいよね~、というごく当たり前な結論なんですけどねw
なぜVOOが長期的に見て一番リスクが少ないのか、しっかりと理解したうえで買っていたほうが、短期的な下げのときにもメンタルがやられないで済みます。
今回はちょっとだけゲーム理論的な視点から、なぜVOOがそんなに強いのかを考えてみました。
簡単な目次
トータルワールドストックETF【VT】
おすすめ度 | |
概要 | 先進国と新興国のどちらも入っているETF |
リスクの低さ | |
リターンの期待値 | |
1年トータルリターン | 0.18% |
3年トータルリターン | 8.29% |
経費率(費用) | 0.1% |
銘柄の数 | 約8,116銘柄(すごく多い) |
PER | 15.71倍 |
銘柄の代表的な市場 | 全世界 |
予想されるリスク | 米国経済が暴落するとつられて世界的にマイナスになる可能性が高い |
ベンチマーク指数 | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス |
リスクヘッジとしてほかに持っておきたい銘柄 | VOO |
※記事を書いたときのデータになります。現在の情報は、バンガードの公式サイトをご覧ください。
全世界を対象にした株式市場ETF(例えば多国籍企業が多いVOOも)はなぜ良いのか?
ビジネスはゼロサム・ゲーム?
ゼロサム・ゲームとは、すべてのプレイヤーの損益をあわせてみるとゼロになることです。
誰かが儲かれば、その分、誰かが損をしているということ。
FXなんかがそうですね。
逆にポジティブサム・ゲームとは、すべてのプレイヤーの損益をあわせてみると合計が増加する余地があるゲームです。
ポジティブサムのことを非ゼロ和(ひぜろわ)ともいいます。
経済はゼロサム・ゲームだ!という方もいますが、それは視点の違いによるもので、世界規模で見るとポジティブサム的な要素が強くなってきます。
ポジティブサムの例は…井戸があって、Aさんがそこから効率的に水を汲むシステムを開発したとします。
- BさんとCさんは、Aさんのシステムを使って、ラクに水を組めるようになりました。
- Aさんは、ラクラク井戸汲みシステムを使って、手数料を手に入れました。
これがどうなるかというと、
- Aさんは手数料が入って嬉しい。
- BさんとCさんは、水を汲むのがラクにできるようになって、その水を使ってウォーターサーバービジネスを始めることができた。
このようになると、Aさん、Bさん、Cさんともに利益を出していて、損益の合計がプラスになっています。
これがポジティブサムの一例です。
経済活動は世界規模で見ればポジティブサム
ぼくやあなたの周りを見ると、儲かってる会社、倒産しそうな会社などいろいろあります。
ぜんぜんポジティブサムじゃないやんけ…って思いますよね。
自分がいる地域はもしかしたら、ゼロサム、もしかするとマイナスサム(倒産してる会社が多い)かもしれません。
さらに広い視点、国単位で見てもポジティブサムとは言い難い状況になっています。
例えば日本。
これはヤフーファイナンスで取得した、日経平均株価の1966年から現在のチャートです。
1990年前後のバブル崩壊を境目として、日本経済は長期で見ると停滞しています。
ぜんぜんプラスサムではありませんね…。
こうして見ると、バブル期はハチャメチャに良かったんだろうな~。
サラリーマンも主婦もみんな株にハマってた時代…。
今の日本は一応盛り返してきてるけど、少子高齢化もあってなかなか先行きは不安です…。
しかし、多国籍企業を多数抱えるアメリカは全然違う様相を呈しています。
リーマンショックのときにかなり落ち込んでいますが、全体的に見ると右肩上がりです。
これはアメリカ市場の成長がスゴいというのもありますが、超大規模な多国籍企業を多数抱えているというのも大きなポイントです。
例えばアップルやフェイスブック、アマゾンやツイッターなど、ぼくらの住む日本でも主流ですよね?
いろんな国で使われているサービスの強みは、例えどこか一つの国が不況になったとしても、ほかの国で利益を上げ続けることができることです。
国ごとにわけることの現実的な効果
なんで全世界の市場をターゲットにしたETFじゃなくて、多国籍企業が多いアメリカのETFにするかというと、単純に「リターンが大きいため」です。
約47カ国の銘柄を組み込んでいる有名なETF、トータルワールドストックETF【VT】と、アメリカの代表的なETF、S&P500ETF【VOO】を比べてみましょう。
トータルワールドストックETF【VT】 | S&P500ETF【VOO】 | |
組み込まれている国の数 | 約47カ国 | アメリカのみ |
1年トータルリターン(記事を書いた時点) | 13.53% | 17.29% |
経費率(費用) | 0.1% | 0.04% |
組み込まれている企業の数 | 約8,122銘柄 | 約507銘柄 |
※リターンは、あくまでも過去の参考値なのでマイナスになる可能性もあります。
リターン(利益)はS&P500ETF【VOO】のほうが高く、さらに経費率もめちゃくちゃ安いというメリットがあります。
それに対してトータルワールドストックETF【VT】は、経費率が高く、リターンが少ないですが、組み込まれている国が47カ国ほどあってリスクが分散されているように思えます。
…が、ここでトータルワールドストックETF【VT】の上位10カ国を見てみましょう。
国名 | 割合 |
アメリカ | 51.7% |
日本 | 8.5% |
イギリス | 5.8% |
中国 | 3.2% |
フランス | 3.1% |
カナダ | 3.0% |
ドイツ | 3.0% |
スイス | 2.4% |
オーストラリア | 2.2% |
韓国 | 1.9% |
アメリカが51.7%と、全体の半分以上を占めています。
これは…リスク分散されていると言えるのかどうか微妙ですね。
さらに、約8122銘柄のうち、上位がどうなっているのかも見ていきます。
銘柄 | 割合 |
アップル | 1.81% |
マイクロソフト | 1.41% |
アマゾン・ドット・コム | 1.25% |
フェイスブック | 0.86% |
JPモルガン・チェース | 0.7% |
バークシャー・ハサウェイ | 0.7% |
ジョンソンアンドジョンソン | 0.7% |
エクソンモービル | 0.6% |
テンセントホールディングス | 0.6% |
見事に9位までアメリカ企業です。
10位のテンセントは中国ですが、それでもたった0.6%…。
正直これなら、アメリカ企業だけのVOOのほうが効率いい気がする…。
というかそういう気しかしないですw
VTがVOOに勝つのはどんなとき?
トータルワールドストックETF【VT】がS&P500ETF【VOO】よりもリターンが多くなるシチュエーションを考えてみました。
例えばアメリカはそのままで、ほかの国がぐんぐん成長率を上げるとかすると、VTのほうがリターンは良くなるはずです。
うーん、そんなことってあるのかな…?という気がしなくもありませんw
アメリカの経済が停滞したら世界的に停滞する可能性のほうが高いと思います。
ということは、VTのメリットって実はさほどないのかも…。
もし、「いやいや中国はこれからスゴいよ」とか「日本はまだまだ成長する!」という自信がある方は、VOOにプラスしてそれぞれの推している国のインデックスETFを買うのがいいと思います。
かならずしも全世界に分散する必要はありません。
結論:全世界を対象とは、対象国を分散させることではなく、多国籍企業に投資をするということ
現在が昔と大きく違うのは、インターネットという物理的な距離にとらわれない市場が生まれたことです。
それによって、多国籍企業の規模はどんどん大きくなってきました。
今僕が考える一番のハードルは「言語の壁」です。
ぼくらがアメリカのニュースなどを読むときに一番困るのが、英語で書かれていることですよね(当たり前ですがw)
しかし、今後は翻訳システムがどんどん進化して、あと数年で言葉の壁がなくなると思います。
そうなったとき、多国籍企業はより一層いろんな国での地位をもりもり築き上げていくはず。
距離の問題や言葉の問題がなくなり、国境があいまいになったときに一番強いのは多国籍企業なのです。
それを考えると長期投資に一番向いているのは、多国籍企業を多数抱えているアメリカのインデックス投資こそが最良だという結論になりました。
というわけで、S&P500ETFについてもわかりやすく書いてみたので、ぜひこちらもどうぞ~!
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いやーいろいろ考えたんですけど、結局VOO最強説です。
だってアメリカの企業がダントツで強いんだもの…。